♯46【IBDと脂質】活動期・寛解期での考え方と最新ガイドライン

医療関連(症状、薬など)

みなさん、こんにちは。今日は以前から書きたかった脂質について記載していきます。

今日はクローン病に限定せず、炎症性腸疾患(IBD)に話を広げて話をしていきたいと思います。IBD患者さんにとって、「脂質(脂肪)」の摂取量は気になるポイントのひとつですよね。特に、活動期と寛解期では食事の注意点も変わってきます。今回は「脂質」について、国内外の情報をもとに整理してみました。


活動期は「低脂質」が基本

IBDの活動期には、腸への負担を減らすために「低脂質食」が推奨されることが多いです。

具体的にどれくらいの脂質量が良いのか、明確な科学的根拠はまだ十分とは言えませんが、日本の多くの病院では 1日20〜30g程度 の低脂質食が提供されていることが多いようです。


寛解期の脂質は? 日本では意見が分かれることも(実体験あり)

寛解期になると、脂質の摂取についての考え方は医師によって分かれることがあります。

その背景には、平成10年の厚生労働省研究班による報告があります。この報告では、脂質摂取量とIBDの再燃率の関係が示唆されています。

  • 脂質20g/日の群 → 再燃率10%
  • 脂質30g/日の群 → 再燃率57%
  • 脂質40g/日の群 → 再燃率63%

この結果を受けて、日本では今も脂質を制限する方針が残っているケースがあります。

私も主治医によって1日にとってもよい脂質の制限が異なることがありました。最初の主治医は厳しいタイプで1日の脂質量は20gで抑えてくださいとのことでした。3人目の主治医は食べたいもの食べたらいいよというタイプだったので困惑することがありました。


海外では「脂質の種類」が重視されている

一方、海外では「脂質の総量」よりも「脂質の種類」に注目する傾向があります。

IBDの国際的な研究機関 IOIBD(The International Organization for the Study of Inflammatory Bowel Disease) が発行したガイドラインでは、以下のような食事内容が推奨されています。

  • 避けたほうがよい脂質:赤身肉、パーム油、ココナッツ油、トランス脂肪酸
  • 摂取を増やしたい脂質:オメガ3脂肪酸(例:青魚など)

実際にアメリカなどの臨床現場では、このような指導が行われているケースが多いようです。脂質の種類については別の記事でまとめていきたいと思います。

脂質は「人それぞれ」でOK。無理のない範囲で

もちろん、これまで脂質を控えめにして症状が安定している方は、無理に摂取量を増やす必要はありません。IBDでは「その人に合った食事」が何より大切です。

ただし、

  • 脂質制限がストレスになっている
  • 食事のバリエーションが少なくなって栄養が偏っている

といった場合は、海外の考え方も参考にしながら、少しずつ脂質との付き合い方を見直してみても良いかもしれません。


まとめ

  • 活動期は腸への負担を考えて「低脂質」が基本(20〜30g/日)
  • 寛解期は「脂質の種類」に注目する海外の考え方も参考になる
  • 自分の体調に合わせた無理のない食生活が最も大切

脂質=悪というわけではありません。必要以上に怖がらず、自分の体と向き合いながら、うまく付き合っていきましょう。

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