こんにちは。前回の尿路感染症と大腸菌の続きで、今回は、「大腸菌とクローン病って関係あるの?」というテーマでブログの記事を書いてみたいと思います。
🔹 復習、そもそも大腸菌って何?
大腸菌(Escherichia coli)は、健康な人の腸の中にも普通にいる常在菌です。つまり、誰の体内にもある菌なんですね。
ただし、大腸菌にはいろいろな種類があって、中には悪さをするタイプもいます。食中毒を起こす大腸菌(O157など)はその代表例です。
🔸 クローン病患者に多い「AIEC」って?
最近の研究で注目されているのが、「AIEC(Adherent-Invasive Escherichia coli)」というタイプの大腸菌です。
このAIECには特徴があり、
- 腸の粘膜にくっついて離れず
- 腸の細胞の中に侵入し
- 免疫細胞に炎症を起こさせる
という、なかなか厄介な性質を持っています。
実際、クローン病患者さんの小腸(特に回腸)や大腸の粘膜から、このAIECが多く検出されたという報告もあります。
🔍 なぜAIECが腸に増えるの?
クローン病の患者さんでは、以下のような理由でAIECが増えやすいと考えられています。
- 腸粘膜のバリアが弱くなっている
- 免疫細胞がうまく菌を排除できない
- 善玉菌が減って悪玉菌が増えやすい環境になっている
つまり、クローン病という体質そのものが、AIECにとって「住みやすい環境」になってしまうというわけです。
🧘♂️ 腸内環境を整えることの大切さ
では、どうすればこのAIECのような悪玉菌を増やさないようにできるのでしょうか?
実は、今すぐできることもいくつかあります。
✔ 食事を見直す
- 加工食品や糖質の多すぎる食事は避け、シンプルな食材中心の食事へ。
- プレバイオティクス(食物繊維)や発酵食品(ヨーグルトなど)も意識して取り入れましょう(※個人の体調と相談)。
✔ 抗生物質の使用に注意
- むやみに抗生物質を使うと、腸内細菌のバランスが崩れてしまいます。
- 必要な時に医師の指示のもとで使用することが大切です。
✔ ストレス管理・睡眠
- 腸と脳は密接に関わっており、ストレスで腸内環境が悪化することも。
- 睡眠やリラックスの時間を大事にしましょう。
✅ 最後に:大腸菌=敵ではない
大腸菌がすべて悪いわけではありません。私たちの腸の中には、良い菌も悪い菌もいて、それがバランスをとって存在しています。問題はそのバランスが崩れたとき。
クローン病の管理では、「炎症を抑える」ことだけでなく、「腸内環境を整える」こともひとつのカギになってきているのかもしれません。
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