みなさん、こんにちは。♯46【IBDと脂質】活動期・寛解期での考え方と最新ガイドラインでは脂質の量についてお話をしてきました。
今回は「脂質の種類やクローン病患者の脂質との付き合い方」についてお話ししてみたいと思います。
■ 脂質には種類がある
脂質は大きく分けて、以下のように分類されます。
✅ 体に良い脂質(常温で液体の油に多く含まれます。)
- オメガ3脂肪酸(n-3系)
▶ 青魚(サバ・イワシ)、亜麻仁油、えごま油、くるみ など
▶ 炎症を抑える働きがあるとされ、クローン病との相性も◎。
▶ EPAやDHAは血液をサラサラにし、免疫バランスにも関与。 - オメガ9脂肪酸(オレイン酸)
▶ オリーブオイル、アボカド、ナッツ類 など
▶ 悪玉コレステロールを減らす作用があり、地中海食でも注目の脂質。
⚠️ 注意が必要な脂質(常温で固体の脂に多く含まれます。)
- オメガ6脂肪酸(n-6系)
▶ サラダ油、大豆油、コーン油 など
▶ 体に必要な脂ですが、摂りすぎると炎症を促進することも。
▶ 現代人は摂りすぎになりがちなので、意識的に控えるのが安心。 - 飽和脂肪酸
▶ 肉の脂身、バター、ラード、全脂乳製品など
▶ 一部はエネルギー源にもなりますが、摂りすぎは腸への負担や炎症リスクに。
▶ 活動期は特に控えた方が無難です。 - トランス脂肪酸(人工脂質)
▶ マーガリン、ショートニング、加工菓子、揚げ物など
▶ 最も避けたい脂質。腸にも心臓にも悪影響があるとされます。
■ クローン病患者と脂質の付き合い方
クローン病では「低脂質食」が基本とされますが、脂質すべてを避ける必要はありません。
むしろ、必要な脂質をうまく取り入れることは体の修復や栄養吸収に大切です。以下のような工夫をしてみましょう。
🌿 体調が落ち着いているとき(寛解期)
- オメガ3脂肪酸を意識して取り入れる(例:サバの水煮缶、亜麻仁油を少量かける)
- オリーブオイルをドレッシング代わりに使う
- ナッツは小分けで少量ずつ(下痢傾向がなければ)
🔥 体調が不安定なとき(活動期)
- 揚げ物、脂身の多い肉は控える
- 調理は「蒸す・茹でる・焼く」を基本に
- 必要があればMCTオイル(中鎖脂肪酸)を栄養補助として使うことも(医師の指導下で)
■ まとめ:脂質は「選び方」がカギ、実体験を踏まえて
脂質は、ただ避けるのではなく、どんな種類の脂質を、どのくらい摂るかが大切です。
クローン病でも、うまく脂質を選べば、体に優しい食事を楽しむことができます。
私自身も「全部ダメ!」と思っていた時期から、食事をあきらめていました。いつもエレンタールばかり服用して、飲食店の前を通るたびに悲しい、悔しい気持ちになりました。
脂質の中には腸内の環境を調整するために、摂取した方がよい脂質があることを知りました。魚の脂やオリーブオイルを取り入れることを知り、料理の種類がたくさん増えました。
体に合う脂質を、無理なく、美味しく取り入れていきましょう。
※食事内容は症状や個人差によって異なるため、具体的な摂取については主治医や栄養士にご相談ください。
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