難病の医療費が不安な人向け。結論:受給者証があれば、指定難病の治療そのものへの直接の影響は限定的な場合が多いです。ただし「それ以外の病気やケガ」で効いてくることがあります。私自身、今回の改正を調べて、自分の実体験と照らし合わせてみました。
まず私の失敗談。受給者証を知らずに月5万円払っていた
9年前、クローン病を発症した直後、私は「特定医療費(指定難病)受給者証」の存在を知りませんでした。薬代だけで月5万円以上払っていた時期があります。
気づいたきっかけは、薬局で薬をもらうときに薬剤師さんが教えてくれたことでした。「その病気なら、医療証が使えるかもしれませんよ」と。あの一言がなければ、もっと長く払い続けていたと思います。
受給者証や医療費助成については、以前クローン病の医療費助成|私が利用している難病の補助制度にも詳しく書きました。まだ手続きをしていない方は、お住まいの保健所へ確認してみてください。
2026年8月から何が変わるのか
ここからは、私が調べた制度の変更点です(数値は厚生労働省の公表資料に基づきます)。
自己負担限度額が全所得区分で引き上げ
月の自己負担限度額が、全ての所得区分で引き上げられます。例えば私と同じくらいの区分にあたる「区分ウ(年収約370〜770万円)」では、80,100円から85,800円へ(+1%部分の基準額も267,000円→286,000円)。月あたり約5,700円の負担増になります。
他の区分の変更後の限度額は以下の通りです。
- 区分ア:270,300円
- 区分イ:179,100円
- 区分エ:61,500円
- 区分オ:36,900円
多数回該当は据え置き
直近12か月で3回以上上限に達した場合の4回目以降(多数回該当)は、区分ウで44,400円のまま据え置かれます。長期療養が必要な人への配慮とされています。
「年間上限」が新設
多数回該当の条件に届かない長期療養者向けに、新しく「年間上限」が設けられます。区分ウ相当で年53万円、住民税非課税で年29万円です。この額を超えた分は、保険者から償還されます(当面は本人の申出ベースでの運用とされています)。
2027年8月には第2段階も
2027年8月には、所得区分をさらに細かく分ける「第2段階」の見直しが予定されています。
※制度は今後も変更される可能性があります。最新情報は厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて」や、お住まいの自治体・保険者(加入している健康保険)でご確認ください。
受給者証を持っている人は、実はあまり変わらないかもしれない
指定難病の受給者証を利用している場合、その治療については受給者証に記載された自己負担上限額の範囲で管理されるため、窓口負担が大きく変わらないケースもあります。
一方で、影響を受ける可能性があるのは次のような人です。
- 受給者証を持っていない人
- 指定難病に該当していても、受給者証をまだ取得していない人
- 難病以外の病気や合併症の治療費が多い人
- 高額な薬剤・点滴治療を継続している人
- 受給者証の有効期限が切れている人
「自分はどちらに当てはまるか」を、この機会に確認しておくのがおすすめです。
私の場合、影響が出るのは「クローン病以外」だった
私は特定医療費(指定難病)受給者証を持っていて、自己負担上限額は月20,000円(一般所得Ⅱ)です。通院は3か月に1回のペース(年4回)で、内服薬と血液検査、年1回の大腸内視鏡検査を受けていますが、この上限には毎回達しています。
ただ、今回改めて制度を調べて気づいたのは、クローン病そのものの治療は受給者証でカバーされていても、それ以外の病気やケガは高額療養費制度(受給者証とは別枠)の対象になるということでした。
2026年5月、私は鼻の手術を受けました。2日入院し、3日目に自宅へ退院。これは指定難病(クローン病)とは別の治療だったため、受給者証ではなく高額療養費制度の対象になりました。高額療養費の上限には達しましたが、会社の健康保険の付加給付が使えて、約1.5万円安くなりました。
私が手術を受けた2026年5月時点は現行制度(区分ウ80,100円)でした。もし同じ手術を2026年8月以降に受けていたら、上限額のベースが85,800円になり、約5,700円多く払うことになった計算です(総医療費の詳細までは把握していないため、+1%部分を含めた正確な金額は分かりません)。
「クローン病だから関係ない」ではなく、他の病気やケガをしたときに影響が出るという点が、私にとって一番の気づきでした。
「高額かつ長期」も調べたけど、私は該当しなかった
指定難病の医療費助成には、「高額かつ長期」という負担軽減の特例があります。申請日以前12か月以内に、指定難病の医療費総額(10割)が5万円を超える月が6回以上あると対象になり、認定されれば一般所得Ⅰは10,000円→5,000円、一般所得Ⅱは20,000円→10,000円に軽減されます。
正直に書くと、私は通院が年4回のため、この「年6回以上」の条件を満たさず、該当しませんでした。
ただし、毎月通院していたり、点滴治療を継続している人は該当する可能性があります。この制度は申請しないと適用されないので、心当たりのある方は保健所に確認してみてください。詳しくは難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」にも説明があります。
この機会に確認したい3つのこと
1. 受給者証の有効期限
受給者証は年度末に更新手続きをするのですが、新しい受給者証が届くまで少し時間がかかります。その間は、区役所が「更新中」であることを証明してくれるので、窓口では通常時と同じ金額で受診できます。ただ、病院の窓口で毎回「更新中です」と自分で伝えなければならないのが、正直なところ少し面倒に感じています。
2. 「高額かつ長期」に該当するか
上で書いた通り、私は該当しませんでしたが、通院・治療の頻度によっては対象になる方もいます。保健所へ確認してみることをおすすめします。
3. 会社の健康保険に付加給付があるか
私は今回の鼻の手術で、会社の健康保険の付加給付のおかげで約1.5万円安くなりました。加入している健康保険組合によって、付加給付の有無や金額は異なります。総務や健保組合に確認してみる価値はあると思います。
正直な感想・気になった点
今回の改正は、ニュースでちらっと見た記憶はあったのですが、詳しい内容や具体的な金額までは知りませんでした。
振り返ると、収入が変わったタイミングでも、自分の高額療養費の上限額がいくらなのか、きちんと把握していなかったなと感じています。今回調べてみて、初めて「区分」や「上限額」の意味がわかりました。
まとめ
2026年8月から高額療養費の自己負担限度額は引き上げられますが、指定難病の受給者証を持っている人は、その治療自体への影響は限定的な場合があります。影響が出やすいのは、受給者証を持っていない人、難病以外の治療費が多い人です。私の場合も、影響を実感したのは「クローン病以外」の治療でした。
「自分はどちらに当てはまるか」を、この機会に一度確認してみてください。制度・お金まわりの他の記事は暮らし・仕事・制度カテゴリにまとめています。
※個人の体験談です。医療費や制度の内容は、加入している健康保険・お住まいの自治体・保健所の最新情報をご確認ください。食事や治療については必ず主治医にご相談ください。


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